FP技能検定とは?(金財とFP協会の比較②)

FP
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前回に続き、FP技能検定の2回目です。

全3回になりますので、もしよろしければ、他の回もご覧いただけると幸いです。

 

1回目(前々回):AFP認定研修を中心に(日本FP協会)

2回目(前回) :FP技能検定①(金財とFP協会の比較)

3回目(今回) :FP技能検定②(試験内容の比較など)

 



 

試験内容(金財と日本FP協会の比較)

厚生労働省は、「FP技能検定」を実施する試験機関として一般社団法人金融財政事情研究会日本FP協会の2つを指定しています。

しかし、2つの機関が実施する試験が完全に同一なものではない点には注意が必要です。

これがFP制度を複雑なものにしている一つの要因と思われるのですが、その是非は別として、2つの機関が実施するの試験内容を比較したいと思います。

区分 金融財政事情研究会 日本FP協会
1級 学科試験 択一式+記述式 (実施しない:CFP学科試験で代替)
実技試験 個人資産相談業務 資産設計提案業務
2級 学科試験 共通(択一式)
実技試験 ① 個人資産相談業務
② 中小事業主資産相談業務
③ 生保顧客資産相談業務
④ 損保顧客資産相談業務
(①~④のいずれかを選択)
資産設計提案業務
3級 学科試験 共通(択一式)
実技試験 ① 個人資産相談業務
② 保険顧客資産相談業務
(① または ②を選択)
資産設計提案業務

ここでは、学科試験と実技試験で分けて考えてみます。

 

学科試験の違い

まず、学科試験を見ると、2級と3級については2つの機関(金財とFP協会)で差はありません

一方、1級の学科試験は「金財」のみが実施しています。

FP協会は1級の学科試験は実施していませんが、1級学科試験はCFP学科試験で代替できることになっています。

よって、CFP学科試験合格と1級実技試験合格でFP技能検定1級が取得できることになります。

しかし逆は真ならず。「1級学科試験はCFP学科試験の代わりにならない」のです。

この点は後述します。

 

実技試験の違い

次に実技試験ですが、FP協会の方は一貫して「資産設計提案業務」の分野となっています。

このことから、FP協会は「資産設計提案業務」をFPのコア業務と考えているものと推察されます。

一方、「金財」の方はいくつかのコースに分かれています。

これは、FP技能検定の前身である「金融渉外技能審査(金財FP)」に由来するものではないかと考えられます。

例えば、「金融渉外技能審査2級」には、「法人取引コース」、「個人取引コース」 「生保コース」、「証券コース」といった区分があったようで、この旧試験の区分が現在のFP技能検定の実技試験にも反映されているような気がします。

しかしFP1級になると、実技試験は「個人資産相談業務」だけになります。

ということは、「個人資産相談業務(FP技能検定1級)」≒「資産設計提案業務(CFP)」と考えられます。

 

「FP1級」と「CFP」 どちらを選ぶ?

勉強内容には差異はない

詳細に分析したわけではありませんが、試験内容に関しては、双方の試験はほぼ同等といえると思います。

したがって、FPになるための実質的な勉強をするのであれば、どちらを選んでも大差はないと思います。

 

FP1級とCFPをダブルで取得をしたい人は?

実質的には同等と思われる試験ですが、FP1級とCFP®の両方を「取得」したい人にとっては、頭の痛い問題があります。

というのも、CFPの学科試験はFP1級の学科試験の代用になりますが、1級学科試験に合格してもCFP学科試験に合格したことにはならないからです

CFP ⇒ 1級ルート 1級 ⇒ CFPルート
CFP学科合格(またはCFP認定) ⇒1級の実技試験の合格
⇒ FP1級
FP1級(学科試験)合格 ⇒ AFP認定研修 ⇒ (AFP認定) ⇒ CFP学科合格
⇒ CFPエントリー研修 ⇒ CFP®

つまり、FP1級(学科)合格者がCFPになるには、AFP認定研修 ⇒ (AFP認定) ⇒ CFPの学科試験(6科目)合格というルートを経る必要があります。

つまり、前回の記事の「AFP ⇒ CFP」の流れになるわけです。

あくまで個人的見解ですが、「当初から両方取得したい」場合には、CFP学科合格 or CFP®認定を経て、FP1級の実技試験合格を目指す(CFP⇒1級ルート)が一般的と思います。

 

まずはFP2級取得

FP1級かCFP®のどちらかで迷っている場合、まずは2級取得を目指すのが得策と思います。

というのも、FP2級まではどちらのルートも共通だからです。

CFP®の方は、「FP2級 ⇒ AFP認定研修 ⇒(AFP認定) ⇒ CFP学科試験 」と続きますが、CFPの学科試験まで合格すれば、CFP®とFP1級のダブル取得が見えてきます。

なお、FP2級とAFP認定研修の順番は逆でもよく、「FP2級 ⇒ AFP認定研修(技能士課程)」、「AFP認定研修(基本課程)⇒FP2級」というような流れになります。

 

実務経験なし(不足)でもCFP®になれる

前回、実務経験なしにFP1級に合格できるという話をしました。

簡単に言えば、CFPの学科試験合格がFP1級の学科試験の代替になるので、CFP学科試験合格と1級実技試験合格によりFP1級に合格するというルートです。

一方、CFP®の方はどうでしょか。

CFPの学科試験を受験する場合には実務経験は必要ありません。

しかし、CFP®認定の際に実務要件が必要となります。

具体的には、CFP®資格認定日までの過去10年間で「通算して3年以上」の実務経験を有していることが要件となります。

しかし、諦める必要はありません。

実務経験が全くない場合、経験年数が不足している場合にも救済ルートがあるからです。

すなわち、「みなし実務研修」、「レジデンシーコース」、「プロフェッショナルFP研修」といった研修を受講することにより、研修時間数が経験年数に換算され、経験年数を満たすことが可能となるのです。

いずれにしても、実務経験がないためCFP®になれないということはありません

考えてみれば、FP技能検定にしろCFP®にしろ、あるいは他の資格試験にしろ、受験資格の段階で実務要件を厳しく設定してしまうと、「若くて、優秀な、他業界からの人材」が入って来なくなります。

将来的な業界の発展を考えれば、門戸はできる限り広げておいた方が良いわけで、これは「機会均等」という基本理念からも肯定されるでしょう。

一般論として、実務要件がネックになるような資格とか検定はほとんどない(実務経験がなくても資格取得できる道はある)と考えてよいと思います。

 

試験合格後の違い

FP技能検定

FP技能検定は、検定時点での「技能レベルを評価する」試験です。

したがって、検定後の継続研修は必須ではありません

しかし、知識やスキルのブラッシュアップを継続的に行っていかなければ、せっかく合格しても活かすことはできません。

この点、例えば金財の「FP技能士センター会員」に任意加入することで、各種研修が受けられる(=一定の継続教育義務が課される)ようです。

要約すると、FP技能検定合格の場合には研修義務はないので、自力で勉強を続けるか、あるいは、「技能士センター」の研修機会を利用するといった方向性が考えられます。

 

CFP®の場合

一方、CFP®の場合には資格更新に際して継続教育が義務付けられています。CFP®は30単位、AFPは15単位の単位取得が必要です。

こちらは、日本FP協会が指定する研修機関の研修を受講したり、スタディ・グループ(SG:有志による勉強会)などを利用することになるようです。

 

いずれにしても、専門知識を維持・深化させていくためには自己研鑽が必要なわけで、それが義務化されているか自主的にやるかの差異に過ぎないと思います。

ただ、他の国家資格の動きなどを見ると、資格維持要件として継続研修を義務化する流れはあるように思われます。

 

おわりに

今回、FPの歴史を振り返りつつ制度を考察してみることで、個人的に色々興味深いことが分かりました。

これらからFP資格を目指そうとする(私のような)人間にとって、資格が統一化されていれば(相互乗り入れ可能ならば)ありがたいわけですが、両制度の成り立ち等を考えると、口で言うほど簡単ではないようです。

 

まとめ

  • FP技能検定の実施機関は、金財とFP協会の2つがある。
  • 2つの機関で実施する試験の内容には異なる部分がある(実技試験と1級学科試験)。
  • まずはFP2級を目指すのが良い。
  • 実務経験がなくてもCFP®になれる。
  • FP技能検定もCFP®も自己研鑽は必要。

 



 

 

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