社労士の勉強方法(その1:予備校と独学の比較)

社労士
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社労士資格の受験勉強をする場合、大きく分けて次の3つの方法が考えられます。

1.予備校の利用
2.通信教育の利用
3.独学

以下、順にそのメリット・デメリットなどに触れたいと思います。

最初は予備校(専門学校)の利用です。

社労士の予備校としては、資格の学校TAC, 資格の大原LEC東京リーガルマインド などがあります。

私もかつて、(社労士ではありませんが)ある資格取得のためにTACに通ったことがあるので、予備校の通学講座のメリット・デメリットについてはある程度理解しているつもりです。

予備校に通うメリット

教材が充実している

予備校の専用テキストには試験に必要な情報が網羅されており、これだけマスターすれば試験に合格できるように作られています。

これは、単に細かいことまで詳しく書かれた教材という意味ではありません。

長年試験を分析した結果、「これだけやれば合格できる」という過不足ない教材に仕上がっているのです。

したがって、予備校の教材をマスターすれば試験合格には十分であり、市販の参考書等を利用する必要は基本的にはありません。

 

[st-kaiwa1]予備校のテキストには情報が過不足なく、キッチリ詰まっているってことなんだね[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa3 r]それが最大の強みだね。もっとも、難関資格だからテキストはかなり分厚いよ。[/st-kaiwa3]

 

プロ講師の指導を受けられる

いくら分かり易く、受験に必要な事項が網羅されているテキストでも、自力でテキストを読んで理解していくのは結構大変です。

この点、通学講座ではプロ講師の授業を聴くことができるのが大きな魅力です。

テキストを読むだけではわからなかった部分が比較的容易に理解出来たり、試験に出る可能性の高い重要ポイントを優先順位をつけながら学ぶことができます。

また、「初学者向けのコース」では講義回数も多目に設定されていたり、一方、「上級者向けのコース」では講義時間がコンパクトになり、逆に演習に力を入れていたりと、受講者の学習レベルに配慮したコース設定がなされていることもあります。

 

[st-kaiwa1]やはり、プロの講義は分かりやすいね。[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa3 r]テキストの中から試験に出そうなポイントをピックアップして教えてくれるから、効率が良いんだよね。[/st-kaiwa3]

 

モチベーションが維持しやすい

予備校(通学)の場合、「わざわざ教室まで行かなければならない」という一種の煩わしさがあります。

しかし、実はこれが重要。教室に行けば、勉強する環境に身を置くことができます。

自分一人で勉強しているとな気分的に盛り上がらなかったり、孤立感からやる気が出なかったりするのですが、教室に行って講師の話を聴いたり、(同じように頑張っている)他の受講生の真剣さを間近に見ることで、自然とモチベーションがアップします。

さらに、予備校の通学講座に通うということは、それなりの金額の投資をしているわけですから、そう簡単に勉強を諦めるわけにはいきません。

「せっかく高い受講料を払ったのだから、無駄にしないよう頑張ろう。」という思いが強くなり、学習が途中で頓挫してしまうリスクも少なくなるように思います。

結果、勉強を続けることができるので、試験に受けりやすくなることになります。

個人的には、この続けるモチベーション」が予備校に通う最大のメリットだと思います。

 

[st-kaiwa1]「今日は仕事で疲れているな~」と感じても、頑張って予備校に行くと自然と勉強モードのスイッチが入るね。[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa3 r]否が応でもモチベーションが上がるよね。「勉強を続ける強い気持ち」が高い合格率の要因だね。[/st-kaiwa3]

 

試験に関する最新情報が得られる

受験予備校の持つ情報量や情報収集力は非常に優れており、予備校に通っていれば自然と最新の受験情報が得らます。

特に社労士の場合は毎年のように法改正があり、試験でも改正ポイントが問われたりしますが、予備校に通学していれば重要部分は漏れなく取り上げてもらえるので心配がありません。

以上、予備校の通学講座(DVD講座もほぼ同様と思いますが・・・)は、学習を進めていく上で強力なツールとなります。

しかし、欠点がないわけではありません。

個人的には次のようなデメリット(課題)があるように思います。

 

予備校に通うデメリット

続いて予備校(通学)のデメリットです。

受講料が高い

高い授業料を払っているために続けられるというメリットもありますが、やはり予備校の授業料というのはそれなりに高額です。

最後までやり遂げる強い意思と自信があれば別ですが、日々仕事を持っている社会人の場合、途中で勉強を中断せざるを得ない状況が訪れないとは言い切れません。

特に社労士の合格率(2~7%程度)を考えると、学習開始直後から本科講座に一括で20万円とか30万円といった多額の授業料を収めるのはなかなか勇気がいるものです。

[st-kaiwa1]受講料が高いから、なかなか受講に踏みきれないんだよね。[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa3 r]コルテスの伝説上の逸話(注)のように、あえて退路を断つ覚悟も必要かもしれないね。[/st-kaiwa3]

(注)16世紀にアステカ(現メキシコ)を征服したスペイン人のエナン・コルテスは、メキシコに上陸した際に仲間の兵士達の逃亡を防ぐために乗ってきた船を焼き、退路を断ったという。これによって兵士達には「前進するしかない」という強いコミットメントが生まれたとされる。

 

学習の自由度が低い

予備校のカリキュラムは合格という目的に対して最も効率的に組まれているわけですが、それが個々の受講生にとって最適かどうかはまた別の問題です。

例えば、既に実務経験が相当あったり、あるいは、数年間勉強していたりすると、「この分野に関しては実力は十分だが、苦手分野がいくつかある。」というような状態にあることも考えられます。

このような場合、「得意分野(科目)は軽くおさらいし、苦手分野をじっくりやりたい。」と思っても、予備校の授業は平均的な受講生を想定した集団授業形式であり、全分野が満遍なくカバーされます。

この結果、得意分野に時間をかけすぎたり、逆に苦手分野は不十分だったりして、必ずしも得点にアップに直結しない勉強になる危険性もあります。

 

予備校(通学)が効果的な方

  • 社労士に対する勉強意欲は高いが、知識があまりない方
  • 自分一人で勉強するより、講師から教わりたい方
  • 受講料を払える位、資金的な余裕がある方
  • 今まで何年か勉強してきたが、次回の本試験で確実に合格を勝ち取りたい方

 

独学のメリット

独学のメリットは、予備校(通学の)デメリットとの反対の関係にあります。

つまり、以下のような関係です。

予備校(通学) 独学
費用 高い(デメリット) 安い(メリット)
勉強の自由度(方法・教材・進め方など) 低い(デメリット) 高い(メリット)

 

独学のデメリット

一方、独学のデメリットは、予備校通学のメリットの反対です。

 テキスト選びが難しい

よほど特殊な資格を除くと、大型書店に行けば目指す資格のテキストが並んでいます。

特に受験者数の多い資格の場合には、複数の出版社からテキストが出版されています。

国家資格の中では、宅地建物取引士(受験者数:20万人強)、行政書士(受験者数:4万人前後)、社労士(受験者数:4万人前後)あたりは受験者が多いため、かなり豊富なテキスト類が市販されています。

ところが、たくさんあり過ぎるため「何を選んだらよいのかわからない」ということになってしまいます。

自分にとって最適なテキストを選ぶのはかなり大変なことです。

[st-kaiwa5]テキストがたくさんあるので、どれを選んだらよいか迷います。[/st-kaiwa5]

[st-kaiwa3 r]大手の受験予備校や通信講座の会社が出版しているテキストを選べば間違いないでしょう。一度決めたらあれこれ手を出さずに1冊に絞ることです。[/st-kaiwa3]

 

重点ポイントが絞りにくい

市販テキストを買ってきて「さあ、始めよう!」と思っても、最初の10ページくらいで躓きませんか?
(私はこういうことが多々あります。)

いくら分かりやすく書いてあるからと言って一応は専門書です。

「初心者がスラスラ読めて、ドンドン頭の中に入ってくる」ような魔法のテキストは存在しません。

予備校や通信講座を利用している場合には、講師の方が「ここは重要です。」とか「この部分は、最初はあまり理解できなくても構いません。」とか言ってくれるので、自分であれこれ悩む必要なはく、安心して学習を進められます。

しかし、独学の場合は理解できない部分が出てくると、どうしてもあれこれ悩んでしまいます。

結果、「あっちのテキストの方が分かりやすいのではないか」などと思い、テキストを買い足したり買い替えたりするわけです。かつての私のように…。

もちろん、ある程度学習が進んで合格ラインが見えてくると、市販テキスト1冊では足りないのでテキストを買い足すことも必要になるかもしれません。しかし、それは学習がかなり進んでからの話です。

確かに、よくわからないまま学習を続けるのは苦痛ですが、「最初のうちは細かい部分、分からない部分は飛ばしてドンドン先に進める」というのが得策だと思います。

全体を一通り見渡すことである種の安心感が生まれます。また、最初の頃に抱いていた疑問点のいくつかは学習を進めるうちに解消できていたりします。

[st-kaiwa5]テキストを買って読み始めたけど、難しくて…。このまま進めて大丈夫かしら?[/st-kaiwa5]

[st-kaiwa3 r]分からなくても、まずは全体を通して勉強することです。この段階が最も挫折しやすいので頑張りましょう。[/st-kaiwa3]

 

モチベーションが保ちにくい

独学の最大のネックがモチベーション維持です。私が独学で挫折した最大の要因はモチベーションが続かなかったからです。

モチベーションを高める方法には色々考えられます。長期計画と短期計画を立てる、計画が予定通り進んだら自分にご褒美を与える、気分転換のためカフェや公園で勉強する、勉強仲間を見つける…など。

それなりの長期戦になるので、自分に合ったモチベーションアップ法・維持法を用意しておくことが大事です。

あとは、勉強が進まなくてもめげない、とにかく続けること…ですね。➡ 自分への戒めです。

 

最新の情報が得にくい

最近はネットの進展などもあり、アンテナを張り巡らせておけば試験に関する最新情報は以前に比べれば取得しやすくなりました。

しかし、予備校などの専門機関を利用すれば、情報収集努力をしなくても必要な情報は入手できます。

自ら探さないと必要情報を得にくいという点も、独学のデメリットと言えるでしょう。

 

 

独学が向いている方

  • まずは費用を抑えて学習をスタートさせたい方
  • 自分のペースで勉強するのが好きな方(自学自習に慣れている方)
  • 試験分野の予備知識がある程度あり、重点ポイントなども自力である程度絞れる方

 

[st-kaiwa1]ところで、ここまででは予備校と独学の2つしか取り上げていないような…。[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa3 r]3番目の「通信講座」は、次の回にするね。[/st-kaiwa3]

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