来年5月の受験を目途にFP制度について情報収集しています。
今日は日本FP協会の「AFP認定研修」を取り上げたいと思います。
AFP認定研修とは
日本FP協会はCFP®とAFPという2つの資格母体になっています。
資格取得の流れとしては、必ず”AFP ⇒ CFP®”というルートをたどります。
言い換えると、「AFPを経ずに直接CFP®になることはできない」ということです。また、AFP認定者になるためにはAFP認定研修を受講する必要があります。
AFP認定研修はFPに必要な「6つの専門分野+倫理」を体系化した研修で、日本FP協会が指定する研修機関が研修を行います。
AFP認定研修は、受講者のバックグラウンド(FP関連知識や実務経験)によって、①基本課程、②技能士課程、③税理士課程の3つのコースが用意されています。
なお、「3級課程」(FP技能検定3級に合格された方向けの研修)もあるようですが、「コース数が少ない」、「基本課程で代替できると考えられる」ためここではとりあげません。
基本課程
基本課程は、「初めてFPの勉強をする」、「FP関連の実務経験がない」方向けの研修です。
基本課程は「FP技能検定2級」の試験内容に重なっており、FP2級試験対策も兼ねています。
また、研修受講によりFP2級の受験資格(=2年間の実務経験)を得ることができるので、「2級合格+AFP認定研修 (+α)⇒ AFP」と考えられます。
3つのコースの中では受講者数が最も多いと考えられるため、提供されるコース数も最も多くなっています。
技能士課程
技能士課程は、「FP技能検定2級 または1級」に合格している人が対象となります。すなわち、一定の知識と実務経験がある人向きの研修となります。
「基本課程」に比べると費用も安く、短期間で修了することができます。
税理士課程
税理士や公認会計士の登録者向けの研修で、「税理士課程」を修了し、所定の手続きを行うことでAFP資格を取得することができます。
研修の費用・期間・受講形態・受講場所等
「基本課程」は、①提供されるコース数が200を超えており、②受講料なども千差万別なのでどれを選ぶか迷ってしまいます。
この点、FP協会の認定研修検索を利用すると、受講課程(基本課程、技能士課程等)、受講形態(通学、 通信等)、受講料(価格帯別)などで希望条件に合う研修が検索できるので大変便利です。
次に、AFP認定研修がなぜ必要なのかを考えたいと思います。
そこで、日本FP協会と米国のFP制度の歴史を概観するところから始めたいと思います。
日本FP協会の歴史
日本FP協会が設立されたのは1987年。1990年にFP資格認定試験制度を確立しました。
その後、1992年に米国のCFP Boardと業務提携します。そしてCFP®資格制度導入が決定し、会員資格をライセンス化してAFP資格が導入されました。
2002年に厚生労働大臣よりファイナンシャル・プランニング技能検定に係る指定試験機関の指定を受け、2005年からは大学院でCFP®資格に応じた教育プログラムが開始され、2009年には高校等でFPによる授業が実施されています。
米国のCFP制度
米国におけるファイナンシャル・アドバイザー業務の歴史はかなり前からあるようですが、1985年に非営利団体のCFP Boardが設立されたことで組織化が始まったようです。
米国には2019年時点で86,000人のCFP®がいるそうですが、これは米国内のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の5人に1人にあたるとのことです。
一方、CFP®制度を全世界に広げる役割を担うのがFPSB(Financial Planning Standards Board)です。
FPSBも米国に本拠があり、FPSBが定める所定の基準を充足することでCFP®の名称(商標)を利用することができます。
日本FP協会はFPSBの設定する基準を満たしており、日本国内で(独占的に)CFP®の名称を利用する権利があります。
CFP®の名称を利用するための4つの条件
FPSBにはCFP®という名称を用いるための基準として、以下の4つの基準が定められています。
① Education(教育)
CFP®を名乗るには、「FP教育フレームワーク」に従った一定水準の教育(学術的な教育)を受けていることが求められています。
② Assessment(評価)
CFPの試験の合格前・あるいは合格後10年間で1年(Supervised)ないし3年(Unsupervised)の実務経験を有することが求められています。
実務経験と試験合格の順番は問いませんが、試験合格と実務経験の両方の要件を満たしてCFP®になる資格を有することになります。
③ Certification(認証 または 認定)
実務経験と試験合格だけではCFP®になれません。
高度な職業Professionalとして備えるべきFPSBの倫理基準(Code of Ethics)にしたがうことが必要です。すなわち、「CFP認定=実務経験+試験合格+倫理」ということになります。
CFP®に高度な倫理観が求められる理由は、顧客の機密情報を扱うことによる守秘義務の必要性、関連諸機関との連携を進める中で利害対立などの課題に直面する可能性があるためと考えられます。
④ Re-Certification(認証の更新)
一度、CFP®の認証を受ければ未来永劫CFP®にを名乗れるわけではありません。CFP®となった後も引き続き研鑽を積む必要があります。
FPSBでは、2年間で最低30時間(倫理を含む)の研修要件を課しています。
再びAFP認定研修
AFP制度は日本独自の制度であり、AFP認定研修も日本独自の取り組みと考えられます。
先のFPSBの4つの条件(①教育、②評価、③認証、④認証の更新)について、AFP資格と照らし合わせて考えると以下のようになります。
① 教育 ⇒ AFP認定研修 ② 評価 ⇒ FP2級合格 + 実務経験 ③ 認証 ⇒ 倫理規定等の順守 ④ 認証更新 ⇒ 継続教育 |
上記を見ると、AFP資格は国際資格である「CFP®と軌を一にした制度である。」と考えることもできます。
CFP®の基準は、FPSB(Financial Planning Standards Board)による「基準(①~④)」が用意されていますが、このFPSBが示す基準の一部を、AFP資格やAFP認定研修が担っていると考えることができます。
「一部」という意味は、CFP®になるためにはAFP資格とCFP試験合格だけでは足りずに、CFP独自の①教育(日本の場合、CFP試験合格後のエントリー研修)、③認証(倫理規定等を遵守する旨の誓約)などが追加で必要になるためです。
これら一体としての条件を満たすことで、国際基準たるCFP®という名称を利用できることになるわけです。
繰り返しになりますが、CFP®認定の一部分を(日本独自の)AFP認定が担っていること、「AFP認定+CFP試験(+α)=CFP®認定」であることから、両者は不可分一体で運用されていると考えられます。
このよう考えると、複雑な制度も多少理解しやすくなるように思います。
- CFP®になるには必ずAFP認定(FP2級検定合格+AFP認定研修)を経由する。
- AFP認定研修は(実務経験や試験合格の有無によって)3種類ある。
- AFP認定研修を提供する機関・コースは数多くある。。
- 国際資格のCFP®の認定条件の一部は、(国内資格の)AFPが担っているので、両者は一体不可分の関係にある。
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