社労士の場合、問題演習(過去問演習)の重要性が強調されます。
全範囲を終えてから問題演習に入るのではなく、「1科目の1単元が終わるたびに問題を解いて(知識を確認して)いく」というのがオーソドックスな方法と思われます。
学習と並行して問題を解いていくわけですが、「今勉強したはずなのに…できない」ということが良くあります。
例えば、以下のような問題の正誤判定です。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]【平成27年 労働基準法】
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間は、労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払う場合、又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となりその事由について行政官庁の認定を受けた場合を除き、労働者を解雇してはならない。[/st-mybox]
答え ⇒ 「正しい」
テキストを読むだけだと、「そう言えば、天変地異(天災事変)とか打切り補償とかあったな~」位しか頭に残りません。
そしてこの状態で問題を解くと、「そう言えば他にも何かあったみたいだから、多分✖でしょ」という感じで、見事に間違えます。
曖昧な知識が正解に結びつかない典型パターンです。
[st-mybox title=”ポイント” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]設問の労働者を解雇できるのは、以下の2つしかありません。
① 打切補償を支払った場合
② 天災事変等のやむを得ない事由による事業継続不可 + 行政官庁(労働基準監督署長)の認定
[/st-mybox]
もう一題。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]【平成24年 労働基準法】
満60歳以上で薬剤師の資格を有する者が、ある事業場で3年の期間を定めた労働契約を締結して薬剤師以外の業務に就いていた場合、その者は、民法第628条の規定にかかわらず、労働基準法第137条の規定に基づき、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。[/st-mybox]
答え ⇒ 「誤り」
「え~、薬剤師(専門的知識等を有する労働者)じゃないし、既に労働契約期間が1年を超えているから、申し出によっていつでも退職できるでしょ」、と思いきや…。
[st-mybox title=”ポイント” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]1年経過後に退職できない者(例外)
① 満60歳以上の労働者
② 専門的知識等を有する労働者
[/st-mybox]
「専門的知識等を有する労働者じゃないから原則適用」と早合点してしまい、「60歳以上」の条件を見落として✖になるパターンです。
なお、問題文中に民法〇条とか、労働基準法〇条とか書いてありますが、「(特別法の)労働基準法が(一般法の)民法のルールを修正している」という原則が理解できていれば、別に〇条とか条文番号は知らなくても、問題を解く上では困りません。
ちなみに、民法628条は以下のような雇用契約解除に関する規定です。
<民法628条> 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。 |
いずれにしても、これも正確な知識の必要性を痛感する問題です。
しかし、正解することよりも重要なのは、問題を解いて間違えることによって「論点がより明確になる」ということだと思います。
こんな感じで、「テキストと問題演習を繰り返す」しかないのでしょうね。
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