社会保険労務士試験オフィシャルサイトでは、社会保険労務士制度を以下のように説明しています。
社会保険労務士制度は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく制度です。社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験の合格等により社会保険労務士となる資格を有する者が、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録を受けることが必要であり、登録と同時に、都道府県社会保険労務士会の会員となります。(赤字は筆者)
簡単に整理すると以下のようになります。
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目 次
受験資格(学歴・実務経験・試験合格)
基本的に、「社会保険労務士となる資格を有する者=社労士試験の合格者」のことです。細かいことを言えば、試験合格以外にも要件を満たすケースもあるのですが、ここでは割愛します。
さて、社労士試験は誰でも受けられるかと言うと、そうではありません。
社労士試験を受けるにためには受験資格が必要です。受験資格は、主に ①学歴 ②実務経験 ③試験合格の3つに区分されます。
ポイントは、①、②、③のすべてを満たす必要はなく、①~③のどれか1つでも満たせば社会保険労務士試験を受験できることになります。
学歴要件
通常の4年制大学や短期大学、高等専門学校を卒業していれば、受験資格はクリアします。
また、4年制大学の在学中(あるいは中退の場合)でも、一定単位を取得していれば受験資格を満たします。
一方、専門学校を卒業された方については、受験資格ががある場合と受験資格がない場合があります。
詳しくは、社会保険労務士センターのオフィシャルサイトをご確認ください。
なお、上記の学歴要件を満たさない方(例えば、中学や高校卒業の方)は、以下の実務要件又は試験合格要件のいずれかを満たすことで、社労士試験の受験資格を得られます。
実務経験
① 学歴要件を満たさなくても、社会保険労務士事務所や社会保険労務士法人で3年以上業務の補助をしていた方は受験資格があります。社労士事務所の職員さんで3年以上実務経験があれば、所属する事務所の所長さんに実務経験証明書を書いてもらえれば、受験経験を満たすことになります。
また、国、地方公共団体、日本年金機構あるいは労働組合などで所定の業務を3年以上行っている方も受験資格があります。
試験合格
①学歴要件、②実務要件を満たさない場合でも、③試験合格で受験資格を得られる可能性があります。試験合格とは、(社労士試験ではない)所定の国家試験に合格するという意味です。
所定の国家試験としては、行政書士試験や司法試験の予備試験の他、厚生労働省が認めた国家試験として、税理士試験、司法書士試験の他、通訳案内士試験や気象予報士試験などがあります。
詳しくは、社会保険労務士試験のオフィシャルサイトをご確認ください。
社会保険労務士となる資格を有する者
受験資格を満たし社労士試験に合格すると、「社会保険労務士となる資格を有する者」になることができます。
社会保険労務士の試験科目は後述の様に10科目ありますが、実務経験等によって試験科目の一部免除を受けることができます。詳しくは、社会保険労務士試験のオフィシャルサイトをご確認ください。
試験科目
試験科目は以下の10科目で、択一式(70問)と選択式(40問)出題さます。配点は1問1点で、それぞれ70点、40点が満点です。
・労働基準法
・労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
・雇用保険法
・労務管理その他の労働に関する一般常識
・社会保険に関する一般常識
・健康保険法
・厚生年金保険法
・国民年金法
合格率と合格基準
合格率
5年前は2%台と合格者を絞り込みましたがここ3年間は6%台で推移しています。かなりの難関です。
今年の合格発表は11月6日(金)の予定ですので、この記事を書いている段階(11月4日時点)では合格者数や合格率は分かりません。
合格基準
年によって違いますが、択一式(70点満点)で、42点~45点、選択式(40点満点)で21点~26点がボーダーラインとなるようです。
また、科目ごとに足切り(最低基準点)があるので、総合点で合格点に達しても、足切りに引っかかると不合格になってしまいます。
択一式・選択式ともに正答率が7割を超え、足切りにならなければ合格できる可能性大です。全科目でバランスよく得点することが必要だと思います。
登録・入会
登録
試験に合格することで、「社会保険労務士となる資格を有する者」にステータスが変わります。
その後、社労士になるためには、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」)に備える社労士名簿に登録する必要があります。
登録するには、「社労士試験の合格」に加えて、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要となります。受験資格を得るときに出てきた実務経験ですが、ここで再登場します。
学歴要件を満たして受験をして社労士試験に合格したものの、2年間の実務経験がないという合格者の方も相当数おられるのではないでしょうか?
しかし実務経験が2年に満たない場合も大丈夫。
連合会が実施する事務指定講習が実務経験として認められているので、この研修を受講することで実務経験の要件を満たすことができます。
講習は、通信指導課程(4月間)と、面接指導課程(4日間)の組み合わせにより行い、料金は77,000円です。(令和2年11月4日時点)
入会
社労士は、「登録」を受けるのと同時に、都道府県の社会保険労務士会の会員となることになっています。すなわち、「とりあえず社労士の登録だけはしておいて、都道府県の社会保険労務士会へは入会しない」ということはできません。
入会する社会保険労務士会は、開業する事務所、もしくは勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域にある都道府県の社会保険労務士会となります。
全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録し、開業場所等にある都道府県の社会保険労務士会に入会しないと、社会保険労務士を名乗ることができません。
したがって、名刺等に「社会保険労務士」と表記したい場合には、単に試験合格するだけでは足りず、「連合会の登録を受け、社労士会に入会」しなければならないことになります。
費用
登録費用
登録に要する費用は全国一律で、合計60,000円となります。
登録免許税 30,000円(収入印紙で納付)
登録手数料 30,000円
会費等 (東京都社会保険労務士会の場合)
会費等は、都道府県ごとに設置される社会保険労務士会によって異なります。
東京都の場合は、以下のようになっています。
入会金 | 年会費 | |
開業会員(法人社員含む) | 50,000円 | 96,000円 |
勤務等会員 | 30,000円 | 42,000円 |
開業にかかる費用(東京都)-実務経験がない場合-
試験合格後、開業登録に要する費用をまとめると以下のようになります。
登録免許税 30,000円
登録手数料 30,000円
入会金 50,000円
年会費 96,000円
研修費 77,000円(2年間の実務経験がない場合)
合 計 283,000円
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