本日は診断士2次試験の振り返りです。
休養とリサーチ開始
8月6日、7日の1次試験が終了した翌日、中小企業診断協会から公表された解答で自己採点をした後、診断士試験のことはしばらく考えないようにしました。
ところが、試験終了後数日すると「足切りが回避できていれば、2次試験を受けられるかもしれない。」と、2次試験のことも徐々に気になり始めました。
ちょうどお盆休み期間とも重なっていたので、旅行に行ったり自宅でのんびり過ごしている間に、息抜きがてらネットで2次試験の情報収集を開始しました。
2次試験は「守破離」
勉強開始時点ではあまり意識しませんでしたが、勉強開始して暫くすると、2次試験の勉強は「守破離」の流れで行っていることに気づきました。
私の場合以下の段階を踏みました。
守 → 解答の型・作法のお手本を学び、これらを身に付ける段階
破 → 過去問演習を重ねて、方法論を肉付けしていく段階
離 → 本試験で解答作成できる再現性の高い方法論を確立する段階
守(8月中旬~9月上旬)
リサーチの結果、TBC受験研究会の方法論(具体→抽象→具体)の納得感が高かったので、この方法論で進めることとしました。
また、事例Ⅲについては、生産管理に関する1次知識が不足していると感じていたので、上記テキストの「抽象化ブロックシート」(=2次試験で利用可能な知識のまとめ)を参考に、同社の1次対策講座の動画をピックアップして視聴することにしました。
さらに、解説のしっかりした過去問題集が必要と考え、TACの過去問集(直近5年分)を購入しました。
2次試験の勉強に際しては、まず手始めに(1次試験では財務会計の勉強がほぼできなかったので)、事例Ⅳ問題集(TAC)を利用しました。
この問題集を解くことで、事例Ⅳの解答に必要なコンテンツを一通り習得することができました。
続いて、TBC受験研究会のメソッド(具体→抽象→具体)の無料動画を参考に、直近3年分の事例を解きました。
最初は、(動画視聴を含めて)1事例で3時間くらいかかってしまい、2日間で1事例しかできない日もありましたが、徐々にスピードが上がっていきました。なお、事例Ⅳについては動画は視聴はせず、直近3年分の事例を時間を気にせず自力で解きました。
この作業が終わるか終わらない頃、1次試験の発表を迎えました。
運良く足切りにかからず2次試験に駒を進めることができたこと、2次試験の勉強に面白さを感じ始めていた頃でもあり、俄かにモチベーションが上がりました。
破(1次合格発表の頃~10月初旬頃まで)
この段階では、事例の縦解きを行いました。
但し、事例Ⅰ~事例Ⅲと事例Ⅳでは、取り組んだ年数や方法がやや異なります。
事例Ⅰ~事例Ⅲの勉強
事例Ⅰ~Ⅲについては、先の3年分(令和3年~令和元年)に加えて6年分(平成30年→平成29年→ 平成28年 →平成27年 → 平成26年 →平成25年)の事例の縦解きを行いました。
事例の縦解き段階では、過去問題集やネット検索でヒットした他の予備校や高得点者の答案などをいくつかめて、研究しました。
予備校等の答案をいくつか集めて読み比べてみると、解答要素にかなり違いがあります。
そこで、どの要素を盛り込むかがポイントになるわけですが、自分として納得感の強い要素を取り入れることとしました。すなわち、制限字数の中で、その時点で自分が納得して書けるであろうベストの答案を作成することに注力しました。
なお、これらの作業はすべてPC(Excel)を利用して行っており、手書きで解答を書いたのは本試験当日を除くと1~2回程度でした。
事例Ⅳ
事例Ⅳについても事例Ⅰ~Ⅲと同じ年度(令和3年~平成25年)の事例を解きましたが、もう少し過去に遡った方が良いと考え、+6年分(平成19年~平成24年)の過去問演習を行いました。結果、事例Ⅳは15年の過去問を解いたことになります。
事例Ⅳは、(時間をあまり意識せず)自力で(手書きで)解答しました。
その際、計算プロセスを丁寧に残すこと(自分なりの解答・解説書を作るイメージ)を心がけました。
この作業にはかなりの時間がかかりましたが、2回目以降の復習時間が大幅に節約されました。
離(10月上旬~試験前日)
事例Ⅰ~Ⅳまで、総復習に入りました。
事例Ⅰ~Ⅲが9年分、事例Ⅳが15年分なので、合計42年分となりました。これらの事例を更に2回転(合計3回転)しました。
回転方法は、事例Ⅰ~事例Ⅲと事例Ⅳでは若干違います。
事例Ⅰ~事例Ⅲについては、初回演習で自分のベスト答案ができているはずなので、2回転目は設問を読んで頭の中で解答の骨子をまとめ、自分の書いた解答と見比べました。
ただ、初期の頃に解いた答案は改善点も多く、解き直しの都度修正していきました。
2回転目はやや時間がかかりましたが、3回転目では1事例当り20分~30分もあれば回せるようになりました。
また、試験直前は、時間を測って手書きで解答を作成してみたりしました。
事例Ⅳについては、初回演習で解けた問題は解説を読み直すに留め、できなかった問題について解き直しをしました。
3回転目も同じことを繰り返しました。
なお、試験前に(追加演習目的で)「意思決定会計講義ノート」を入手しましたが、時間がとれずにあまり活用できませんでした。
(結局、筆記試験の発表待ちの正月休みに解きました。)
試験直前には、事例Ⅰ~Ⅲについては、ファイナルペーパーを作成し、試験前2~3日はこの内容がスラスラ出てくるように繰り返しました。
2次試験の反省点
後知恵ではありますが、2次試験の反省点は以下の3点です。
”離”の危険性
守破離の「離」ですが、「与件本文のメモ」、「試験中に利用するマーカー等の筆記具」といった部分に関しては、自分流のやり方で良いと思います。しかし、「離」が危険な部分もあると思われます。
私の場合、事例Ⅰが予想外の低得点(44点)になってしまったのは、自分流(=離)が前面に出てしまったことが原因と思われます。
勉強を始めた当初は、事例に対する設問を読んでも、何を書くのかすらよく分からない状態でした。
しかし勉強が進んでくると、設問趣旨が理解できてきて、それなりに納得感のある解答が書けるようになってきます。
そうすると、勉強もだんだん楽しくなってきます。そして、「自分流で解くことが楽しくなってくる」時期を迎えます。
自分で色々考えて勉強したり工夫したりするのは確かに楽しいのですが、「点取り」という点では逆効果に働くリスクもあるようです。
制限時間を意識した訓練不足
私は2次試験の「勉強を楽しんでしまった」ことから、本試験で得点するという意識が相対的に低かったと思います。
これは制限時間に対する意識の低さにも表れます。
事例Ⅰ~Ⅲについて時間を測って解いたのは直前1~2週間位で、事例Ⅳに関しては時間を測って解くことはしませんでした。
幸い、事例Ⅰ~Ⅲについては時間が足りなくなることはなかったのですが(事例Ⅲの最後の問題だけ、下書きできずに解答欄に直接記入)、事例Ⅳでは時間が足りなくなってしまいました。
「時間を測って問題を解く」、「短時間で解けるように繰り返し練習する(=パターン学習をする)」必要性があったと思います。
得意科目の過信は禁物
私の2次試験の得点戦略は、事例Ⅰ~事例Ⅲで程々の点数(合計150点~170点程度)をとって、事例Ⅳで巻き返すというものでした。
試験当日、事例Ⅰ~事例Ⅲまで終えた感触では、「何となく出来ているような、出来ていないような…」という感触だったので、「事例Ⅳで挽回すればもしかすると…」と気負ってしまいました。
これも失敗の原因でした。
第1問の生産性分析では付加価値を算出することはすぐにわかったのですが、付加価値の正確な計算式を覚えておらず、時間を浪費してしまいました。
第4問(記述)はまずまずの答案を書けたと思いますが、第2問のセールスミックスでは痛恨の計算ミスをしてしまいました。
さらに、第2問の途中位から(疲労や焦りが原因と思われますが)問題文を読んでも頭になかなか入って来ず、第3問の途中で時間切れ(最終問題は空欄)という残虐たる結果となってしまいました。
あまりにも期待ギャップが大きく、事例Ⅳについては再現答案を作成する気力もありませんでした。
事例Ⅳの失敗原因は、①ある程度疲労している状態でも解けるパターン学習(前述)をしていなかったこと、②得意科目であると過信してしまったことがあると思います。
2次試験合格で重要なのは4科目のバランスです。
「低評価答案(50点未満)を避けつつ、総合点で60点以上を確保すること。その上で、得意科目があればなお有利。」
というスタンスが、合格の可能性を高める鍵だと思います。
なお、事例Ⅳの得点調整がしばしば話題になりますが、やはり空欄は禁物だと思います。
空欄の場合には得点調整(加点)の余地はありませんが、埋めてあれば(得点調整で)何点か入る可能性はあります。
私自身、事例Ⅳで得点調整を受けたと思いますが、仮に1点でも調整点が低ければ不合格だったわけです。
問題自体が分からなくても、計算する時間がなくても、「考え方」や「計算式」その他何でもよいので、とりあえず何か書くことが重要です。
最後まであきらめずに、1点でも多く点数をとりに行く姿勢が大切だと思います。
2次試験の教材費
市販テキスト6冊(TBCのテキスト,TACの過去問題集:3冊、事例Ⅳ対策問題集:2冊)の費用として20,000円弱の出費(受験料を含まず)となりました。
コメント